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MUSIC LAND -私の庭の花たち-

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「白蛇の道」9

8を最終回にするつもりでしたが、続きを書いてみました。

花一輪


白蛇はいつの間にか、部屋から居なくなっていた。

代わりに彼が来てくれるのだ。

無言電話の後に、「今夜どうしても逢いたい」と言う。

明日にしてもらおうかとも思ったけど、

このままではお互い眠れそうにない。

もう遅いから、うちに来てもらうことにした。

今夜は風雨が強くて、彼のノックかと聞き間違えてしまう。

何度もドアを開けては、がっかりしてしまった。

そんなに早く着くはずがないのに。

やけに強い風雨の音。

またかと思いつつ、開けてみると

息を切らし、ずぶ濡れになった彼。

「こんなに濡れて、風邪ひいちゃうわ。」

あわてて部屋に招き入れた。

「傘差してこなかったの?」

「差したけど、風で裏返ってしまったんだ。

戻すのも、もどかしくて、捨ててきた。」

バスタオルで髪や体を拭いてあげると、

その腕をつかまれてしまった。

またビクッとしてしまう。

彼のことは好きなのに、

体が拒否反応を示してしまうのだ。

「手が冷たいわ。待っててね。」

腕を振りほどいて、台所に逃げ込み

温かいココアを作った。

彼に差し出して、飲んでる顔を見つめる。

「ありがとう。体が温まってきたよ。

でも、心はまだだな・・・。」

切なそうに見上げる彼の瞳を見ていられなくて、

目をそらしてしまう。

「小百合の気持ちは分かったから、

急いだりはしないよ。」

優しい彼だからこそ、ますます辛い。

「貴さん、ごめんなさい。

少しずつ慣れていかないとダメみたい・・・。」

父の性的虐待が私の体をまだ支配している。

母に拒否されて、私に欲望が向かってしまった結果だ。

誰かに受け入れられたいという思いだったのかもしれないが、

父親として愛して欲しいという私の気持ちは潰されてしまった。

彼に愛して欲しいと願うのは、その延長なのか。

親に愛されなかった私は、人を愛せるのだろうか。

まず自分さえ愛せないというのに。

思いを閉じ込めて、うずくまってしまった私の肩に、

そっと触れてくる彼の温かい手。

そこから波紋のように温かさが広がっていく。

凍てついた心まで溶かしてくれそうだ。

花畑ライン

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